インプラントに歯石はつくのか?

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インプラントは人工歯根にセラミックなどの人工歯を装着しています。人工のものですから、歯石は付着しないと思われがちですが、実は天然歯と同様に歯石がついてしまいます。本記事では、そのメカニズムやどのような影響があるのか、そして、予防方法について解説していきます。

歯石がつくメカニズム

歯石とは歯の周りには歯垢(プラーク)が溜まり石灰化したもので、虫歯や歯周病の原因になります。天然歯だけではなく、インプラントにも付着するため、注意が必要です。以下にインプラントに対して、どのように歯石がつくのかを解説します。

歯垢(プラーク)の付着

歯垢(プラーク)とは、食べかすが付着したものではなく、細菌が固まって歯の表面に付着したものです。白っぽくねばねばしている物質で、1mgには1億個以上の細菌が存在しています。細菌は通常、唾液により洗い流されますが、歯と歯茎の間など唾液の流れが悪い場所では流されずに増殖して歯垢(プラーク)を形成してしまいます。

石灰化

歯垢(プラーク)を放置しておくと、唾液中のカルシウムやリンと結合して石灰化してしまいます。これが「歯石」です。歯石は、歯垢(プラーク)から2日間程度で形成されるといわれており、約80%がリン酸カルシウムという無機質で構成されています。

付着部位

インプラントの場合、人工歯はセラミック製のものが多く、長期間の使用で表面に傷がつき歯垢(プラーク)が付着しやすく、それが歯石に変化していきますので、注意が必要です。付着する部位は、歯と歯茎の境目や歯の間です。また、歯茎より上にできるものを歯肉縁上歯石、歯茎の中にできるものを歯肉縁下歯石と呼びます。お口の中全体で歯石ができやすい位置としては、形成されるときに唾液が影響するため、唾液腺の近くにできやすい傾向があります。具体的には下の前歯の内側や上の奥歯の外側です。

インプラントに歯石がつくことによる悪影響

インプラントも天然歯と同様に、歯石がつくことによってさまざまな悪影響が出てしまいます。以下に代表的な影響を解説していきます。

インプラント周囲炎のリスク

インプラントでは虫歯にはなりませんが、歯周病と同じくインプラントを支える歯茎や骨が、歯周病菌によって炎症を起こすインプラント周囲炎になるリスクがあります。初期は歯茎の赤みや腫れから始まり、進行すると出血や膿が出たり、最終的にはインプラントが抜け落ちたりするおそれがあります。注意したいのは、天然歯と異なりインプラントには「歯根膜」がないため、血流が少なく免疫力が低い傾向があることです。そのため、細菌感染しやすく、病気の進行も速いのが特徴です。また、インプラントには神経がないため、痛みを感じにくく、気づいた時には重症化していることが多いので、定期的な検診が非常に重要です。

口臭や噛み合わせの乱れ

歯石は講習の原因にもなります。歯石があるお口の中の環境では、歯石の表面などに細菌が繁殖しており、その代謝過程で腐敗臭を発することがあります。また、炎症により歯茎に膿がたまったり出血することによって臭いが発生することもあります。さらに、歯石によりインプラント周囲炎が進行するとあごの骨が吸収されてしまい、嚙み合わせが変化することもあります。

天然歯への悪影響

歯石がたまっているということは、メンテナンスがうまくいってなく、お口の中が細菌の繁殖しやすい環境になっていると考えられます。そのため、インプラント以外の天然歯に対する虫歯のリスクも高まります。大切な残存歯に影響を与えないためにも、次のような歯石予防とケア方法を実践しましょう。

インプラントの歯石予防とケア方法

歯石を防ぐには、正しい歯磨きで歯垢を取り除くことが重要です。歯ブラシはペン持ちで小刻みに動かし、歯茎との境目は45度に傾けて磨きましょう。歯の裏側などは特に丁寧に磨いてください。歯ブラシだけでは難しい歯間には、デンタルフロスや歯間ブラシが効果的です。これらを活用することで、歯垢除去率がアップし、歯石の形成を抑えられます。また、セルフメンテナンスだけではすべての歯垢やできてしまった歯石は取り除けません。定期的に歯科クリニックのメンテナンスを受けることも重要です。

まとめ

インプラントでも歯石はついてしまいますので、インプラントを長持ちさせるためにも、天然歯を守るためにも、お口の中のケアは欠かせません。毎日の歯磨きはもちろんですが、定期的な歯科クリニックでのメンテナンスも欠かさずに実施するようにしてください。