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インプラント治療では、必ず外科手術が伴います。手術後の注意点は、さまざまなことがありますが、今回は運動についてご紹介します。日頃から健康のために運動を習慣にしている方も多いと思います。インプラント手術後の運動はいつから可能か、どのような影響があるのかなど、ぜひ、参考にしてください。
手術の直後に運動することによって、身体に影響が出ると考えられます。まず、自覚症状として考えられることが、「痛みや腫れの悪化」です。これは、運動することによって、血流が活発になることでおこります。また、血流が活発になることによって、出血が起こる可能性もあります。
インプラント手術後には、軽度の炎症反応があります。これは、手術によって侵襲(しんしゅう)された身体の反応です。炎症反応は、血液中のサイトカインという物質を介して、さまざまな物質が集まり、侵襲された部位の細胞を排除して修復しようとして起こります。通常のインプラント手術後では、それほど激しい炎症反応は起こらないと考えられます。しかし、術後すぐに激しい運動をした場合には、炎症反応が促進する可能性があり、炎症反応が促進してしまうと痛みや腫れのほか、発熱することがあります。
激しい運動は上記のように、炎症反応を促進させる原因となります。激しい炎症反応や、炎症の継続は、痛みや腫れ、発熱などのほかに、免疫力の低下につながることがわかっています。免疫力の低下は、特に手術後の部位に感染症などを引き起こしやすくする原因となります。また、高齢の方や糖尿病など免疫力が低下する持病を持っている方などは、身体全体に影響が出ることも否定できません。十分に気をつけることが必要です。
医療分野では傷の治りのことを、創傷治癒(そうしょうちゆ)といいます。そして、なかなか傷が治らないことを創傷治癒遅延と言ったりします。この創傷治癒遅延にはさまざまな原因があり、と糖尿病などの持病も関係しています。そして、術後に激しい運動をすることも、原因となる可能性があります。創傷治癒には、出血凝固期、炎症期、増殖期、成熟期という段階に分けられます。激しい運動をすると、炎症反応が促進されることがあるので、炎症期が長引いてしまうわけです。結果として、創傷治癒期間が長くなってしまうということです。
では、インプラントの手術後に運動をしても良いタイミングとは、いつごろからなのでしょうか。一般的には1週間以内と考えられますが、一律に「何日後」とは言えません。なぜなら、インプラント手術にもさまざまな方法があり、手術の状況により期間が変わってくるからです。例えば、「フラップレス手術」のように、歯肉を切開しないでインプラント体を埋入すれば、運動禁止期間は短くなるでしょう。一方で、骨が足りないために「サイナスリフト」のような大きく歯肉の切開を伴う手術をした場合には、術後出血の心配もあり、運動禁止期間が長くなるでしょう。運動に関しての注意点は、必ず術後に担当医へ確認してください。
ご紹介してきたように、インプラント手術後の運動は、手術部位や全身に影響を及ぼすこともあります。手術後に担当医から聞いた注意点を守り、治療期間を長引かせずに快適な治療を目指してください。