貧血でインプラントはできるのか?

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インプラント治療は、自分の歯と同様に咀嚼できるなどのメリットが期待できる治療ですが、すべての方が受けられるわけではありません。

「貧血の持病がある場合、インプラント治療はできる?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、貧血の持病をお持ちでもインプラント治療は可能なのかどうかをまとめました。事例についてもご紹介します。

気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

貧血とは

貧血とは、赤血球に含有されている血色素(ヘモグロビン)の濃度が低下している状態をさします。貧血は、その原因によっていくつかの種類に分けられますが、中でも多いのが鉄欠乏性貧血です。

血液には、全身に酸素を運搬する重要な働きがあります。赤血球に含まれているヘモグロビンは、酸素を運ぶ役割を担っています。

ヘモグロビンは、主に鉄を含む「ヘム」と呼ばれる色素とたんぱく質が結合してできていて、これが酸素と結び付き全身に運ばれていくのです。

そのため、身体の中の鉄が減ってしまうと、ヘモグロビンも減少し、酸素を運搬する能力が低下してしまいます。

そのような状態になると、頭痛、息切れ、疲れやすさなどの症状が見られ、運動機能の低下を招きやすくなるのです。

インプラント治療は、歯茎を切開して、顎の骨を削るといった大がかりな手術ですので、身体へ一定以上の負担がかかりやすくなります。貧血の状態でインプラント治療を受ける場合、さまざまなリスクにつながりやすいです。

また、腎機能低下によって貧血の症状が見られる場合、血圧のコントロールが難しいケースもあります。手術に対する緊張や不安、痛みによって血圧が急激に上昇してしまうおそれがあります。

ヘモグロビン量が10g/ml未満の場合、インプラント治療は延期される傾向にあります。

参照元:厚生労働省公式サイト「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html

参照元:厚生労働省PDF「歯科インプラント治療指針」【PDF】
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shika_hoken_jouhou/dl/01-01.pdf

貧血でインプラントを受けるには?

前述の通り、インプラント治療の可否は、血中のヘモグロビン量が10g/ml以上あるかどうかはもちろん、全身状態をチェックして判断されます。

貧血のある方がインプラント治療を希望する場合、内科を受診して適切な治療を受け、医師の許可を得る必要があります。

それに加えて、ストレスや緊張などをなるべく排除し、急激な血圧上昇を避けるような配慮が必要不可欠です。

そのため、貧血のある方へのインプラント治療は、歯茎を切開せずに済む、フラップレスインプラントが望ましいとされています。

フラップレスインプラントでしたら、患者に痛みなどの負担がかかりにくく、出血も抑えやすいからです。

貧血のインプラント事例

63歳男性の症例をご紹介します。

血中の白血球や赤血球、血小板などの成分が減少してしまう再生不良性貧血と診断され、10年ほど前より服薬しています。

以前よりインプラント治療を希望されており、歯周疾患の治療を終え、インプラント埋入をすることになりました。

持病に、再生不良性貧血があることから、コンピューターで精密にシミュレーションするフラップレスインプラントを採用。手術中・手術後には、異常出血は認められませんでした。

術後、感染症の所見も見当たらず、術後6年経過後もインプラントの状態は良好だと言われています。

参照元:「フラップレスでインプラント埋入術を施行した出血性素因を有する2症例│日本口腔インプラント学会」日本口腔インプラント学会誌(2015)28巻4号 p.515-520【PDF】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/28/4/28_515/_pdf

貧血でインプラントを希望する方は主治医へ相談しよう

インプラント治療は、貧血や高血圧などの既往歴があったり、気になる症状があったりする場合、主治医への問い合わせや臨床検査データを勘案して、手術の可否を検討します。

インプラント治療を受けたい場合、まずは主治医へしっかりと相談をするようにしてください。